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| Q | “家並”は「イエナミ」「ヤナミ」どちらにも読めますが、この言葉の使い分けをどのようにしたら良いかをご教示願います。 |
| A | 「やなみ(家並・屋並)」と「いえなみ(家並)」は、どちらも家が並んでいることや並び方、家ごと、という意味ですが、「いえなみ」には、ほかの家と同じぐらいであるという「世間なみ」という意や、類義語に「のきなみ」があります。 また、同じ意味で使うなら、話しことばでは「いえなみ」のほうが聞き手に漢字をイメージしやすいのでスムーズに伝達できると思われます。 −緑− |
| Q | 「広辞苑」など辞書には、花街(かがい)と花街(はなまち)は分けて載せられていますが、花街(はなまち)という言葉は、本来の花街(かがい)という言葉を、後の人、たとえば、艶歌の作詞者などが、花街(はなまち)と耳安くして歌詞に取り入れ、それが市民権を得て辞書にも載せられるようになったのではないかと思うのですが、如何でしょうか。 |
| A | Mさんのご推測に賛同します。お調べのように、「かがい(花街)」も「はなまち(花街・花町)」も、遊女屋、芸者屋などの集まっているところで、いわゆる「いろまち」の意です。小学館『日本国語大辞典』には、「かがい」は1785年の「狂歌・徳和歌後万載集」と、1870年〜76年の「西洋道中膝栗毛」からの用例が挙げられています。一方「はなまち(花街・花町)」は、1923年の矢田挿雲「江戸から東京へ」から「花町」の用例が示されています。このことから判断すると、「かがい」を「はなまち」に訓読みすることで、婉曲的な表現にしたり独特のニュアンスを含めたりしたことばとして広がったのではないでしょうか。 −緑− |
| Q | 電話を保留する際に相手にお断りする「少々お待ちください」の「少々」について。「少々」のように、同じ音が続く言葉を電話応対では使わないのが良いのでしょうか? 例えば「少し」や「しばらく」などが適切でしょうか? |
| A | 電話のとりつぎでは「少々、お待ちください」が決まり言葉です。「少々」は、やや固い書きことばですが、公式のときや改まった場合に用いられます。最近は、固さを取るためや発音しづらい(「ショー」の「シ」は息や声が勢いよく通過するときに作られる摩擦音ですから、それを繰り返すのは負担がありです。また、強い音に聞こえる)ことから「少し、お待ちください」が使われる傾向にあります。丁寧さは「少々」「少し」「ちょっと(くだけた話しことば)」の順で落ちていきます。 「しばらく」は「少し」よりも長い時間の程度を表します。 −緑− |
| Q | 話し言葉で「弊社」は適切ではなく書き言葉と伺いました。 では「当社」はいかがでしょうか? ちなみに私は「わたくしども」と言うようにしております。 |
| A | 話しことばでは、自社を謙譲語で「わたくしども」というのが慣用的ですが、特に改まった場面や固い表現をしたいときは、あえて書きことばの「弊社(自分の所属する会社をへりくだるとき)」が用いることもあります。なお、「当社(自分の所属する“この”会社、わが社)」には謙譲の意はありません。 −緑− |
| Q | 「来る」の尊敬語で「来られる」は正しいですか? |
| A | 「来る」には「いらっしゃる」という特別な敬語のほかに、「おいでになる」「お越しになる」「お見えになる」という言い方があります。「こられる」も間違いではありませんが、改まった場合は「いらっしゃる」のほうが一般的なので、どんな聞き手にも違和感がないと思われます。 −緑− |
| Q | 私は、私立大学の英文学科に通う4年生です。私が中学生のとき、英語のyouの訳語として習ったのは、「あなた」という言葉です。しかし、実際の日本語では、「あなた」を使うと、何か変な気がします。 そのため、英文中で、youと書かれている場合、「あなた」と書くと、不自然になることのほうが多いような気がします。 実際に、日本語で、「あなた」という言葉が使える場面は、どのような場面なのでしょうか? |
| A | 日本語の二人称「あなた」には使用制限があります。例えば、外国映画の日本語字幕や吹き替えに注意してみてください。人物や場面にあわせて「あなた」が省略されていたり、「きみ」「あんた」「そちらさま」「おたく」などに訳されていたりして、多様な日本語表現が観察できますよ。 日本語の対話では、一人称ほどでないにしても、二人称も省略される傾向があります。「あなた」の代わりに相手の名前や役職・役割名(社長、先生、お母さん、奥さんなど)を呼ぶのが一般的です。 「あなた」が使える場面を、ざっとあげてみましょう。 1.自分より目下の人に向かって(自分と同等でも、どこか気がねがあるときや、相手と距離をおきたいとき)。 2.夫婦や恋人など親しい男女間で(主に女性が男性に向かって言うとき)。 3.ある程度親しい同年代の女性間で(特に「“昔”お嬢さん」だった人たちの間で)。 4.一人を特化して呼びかけるとき(例えば、ラジオのパーソナリティーがリスナー個人に向かって話しかけるとき)。 5.不特定多数向けの文書や公の場で個別に問うとき(アンケート調査や試験問題の設問、法廷尋問など)。 6.文書で名前の重複を避けるとき(表彰状、認定証等の公的な書式など)。 7.慣用句や語法(「あなたまかせ」や「あなたなしでは〜ない」など)。 8.擬人化表現(愛玩動物やぬいぐるみ、植物等に向かって)。 等々、いろいろ出てきますが、要は、自分より目上の人には使えないことですね。それから、「あなた」の受け止め方は、都市部か農村部かの地域や、職業、年令、親疎関係等によっても異なるようです。 もし、「あなた」が日本語を学んでいる外国人から、「あなた」と言われたときは、寛容に受け流すか、機会を見て教えてあげましょう。 ―緑− |
| Q | 仕事上で使用している言葉の解釈で困っております。 「利用残高」という言葉が、日本語として正しいか否かということです。 こちらの解釈では、お客様がクレジットを利用され、まだ弊社に返済されていない(未決済分)金額をご案内する場合にこの言葉を使用しております。 【使用例】 ご利用可能枠 − ご利用残高 = ご利用可能額 しかし、一部には、お客様から見てあといくら利用できるか(利用可能額)の金額 と解釈されるとの意見があります。(全く逆の解釈です)業界を見ますと、弊社と同じ意味合いで使用しているところもありますが、使用していても、括弧書きや注釈をつけているところもあり、様々です。 |
| A | 「残高」自体の意味は、「収入から支出を差し引いて残った金額。また、貸借を決済して残った額」(『大辞林 第3版』三省堂)となります。従って、「預金残高」は「入金・出金をした後に預金口座に残った金額」を指します。 この例から考えると、クレジット口座の「利用残高」の場合は、「クレジット(借入)を利用した後、返済した金額を差し引いて残った借入金額(未決済金額)」という解釈が妥当だと思われます。つまり、現在使用されている解釈で良い、ということです。 ただし、実務上は顧客の誤解を避けるために「利用残高」の解釈を注記しておくのが賢明でしょう。 ―赤― |
| Q | 作成した資料をメールに添付し、相手に確認を求めることがあります。そのような場合に、今まで ・ご確認の方、よろしくお願いいたします。 ・ご確認の程、よろしくお願いいたします。 という表現を見たことがあります。 「方」と「程」、どちらかが勘違いして使われているような気がします。またはこのような表現はないのでしょうか。 |
| A | 「ご確認の方」は「ほう」と読むのであれば、最近「間違った日本語」あるいは「マニュアル語」として問題視されている「コーヒーのほう、お持ちしました」と同じ表現になります。 「ほう」は、本来、複数の物からひとつを選ぶ場合に使う語であり、選択肢がない時に使うと、違和感のある表現になります。 また、「かた」と読ませるのであれば、「の」がよけいな語になります。「方」は動作を示す漢語に付属して、「撃ち方やめ」「依頼方お願いします」のように使います。 「ご確認の程(ほど)」は、具合・情勢・様子を表わす語で、名詞について表現を婉曲にする働きがあります。同じ表現例では、「ご無礼の程」「ご愛顧の程」などがよく使われます。―赤― 以上、『日本国語大辞典 第2版』(小学館)『大辞林 第3版』(三省堂)を参照しました。 |
| Q | 問合せ対応の電話業務をしております。隣の方が、電話を切るときに「私、○○と申しました」と電話を切ります。これは正しい表現なのでしょうか? ちなみに私は「○○が承りました」と言います。どうぞご教授ください。 |
| A | 問合わせの対応者が、「○○と申しました」と言って電話を切るのはおもしろい表現ですね。たしかに対応した後なのですから、過去形にすればよさそうですが、この場合の「申します」は、「言う」の丁重な表現(謙譲語)ですから、自分を名乗るときは「申しました」にはなりません。したがって、しろたさんのように「私、○○が承りました」や「私、○○がお受けしました」となります。 −緑− |
| Q | 一年間ずっと疑問に思い続けていたことがあります。 それなりに調べてみたものの、正解が分からず…このままでは、気持ちよく年越しも出来ないので、質問させていただきたいと思います。 2006年は、「マリー・アントワネット生誕250周年」「モーツァルト生誕250周年」の両方に当たると言われてきましたが、誕生日を調べてみると、アントワネットが生まれたのは、1755年11月2日、モーツァルトが生まれたのは、1756年1月27日。年が違うのです。一体どちらが正しい「250周年」なのでしょうか。 「周年」という言葉の意味を辞書で調べたところ、「数を表す語に付いて、ある物事が始まってから、その数だけの年が過ぎたことを表す」というようなことが書かれていました。 確かに、1年経ったら「1周年」、10年経ったら「10周年」…でも、「10周年」記念の年というのは、まる10年経ってからの一年を指すのでしょうか。 それとも、10年目を向かえる一年を指すのでしょうか。 数字が大きくなればなるほど、後者で捉えているような気がするのですが、「1周年」で考えたら、それはおかしいですよね。1年目を向かえる年を「1周年」と言ったら、スタートした途端に「1周年」に なってしまいますから…。(笑) 「〜周年」の正しい意味と使い方、そして、本当に2006年が生誕250周年なのは、マリー・アントワネット? それとも、モーツァルト? 正解を教えて下さい。 |
| A | 「周」は、あまねく行き渡るという意味で、ある地点やコースをまわる回数を数えます(飯田朝子『数え方の辞典』小学館)。従って、「周年」も辞書で調べられた通りで、「その数だけの年が過ぎた」=「記念の年になってから」を「〜周年」と言います。 「創業10周年」と言うためには、10年の年月が経っていなければなりません。「10年目」は9年と1日からの1年を言いますが、それとは違います。ですから、正確に言えば、「マリー・アントワネット生誕250周年」は2005年11月2日から2006年11月1日までの1年になり、「モーツァルト生誕250周年」は2006年1月27日から2007年1月26日までの1年になります。 では、2006年はどちらの生誕250周年にあたるでしょうか? そうですね、ふたりとも2006年に懸かっています。それで、1755年生まれのマリー・アントワネットも、1756年生まれのモーツァルトも、2006年に「生誕250周年」を祝ってもらえたのでしょう。めでたし、めでたし。―赤― |